試合をした事で気づけたこと ーー秋山みなみ

試合をした事で気づけたこと ーー秋山みなみ

スポーツ選手とは絶えず試合に向けて勝つために練習に取り組み、高みを目指す。
その過程で、その一生懸命な姿に人は感動や心動かされるもの。そんな風に私は捉えています。

先日久しぶりに試合に出場しました。
前回の試合が2020年2月のインドの国際大会だったので、約1年ぶりの試合です。

その時はちょうど中国人の国外への渡航が禁止になったタイミング。結局その後3月にテニスの国際大会は中断するのですが、「今国内にいる中国人かわいそうに・・・」なんて思いで、まさか世界がこんな事態になるなんて思いもしませんでした。
私と同じような思いだった方がほとんどだったのではないでしょうか。

もちろん緊急事態宣言等で練習ができない時期もありましたが、練習ができるようになっても試合状況含め先が見えず、”何を目標に頑張ったら良いかわからない”というのが正直な気持ちでした。

試合に出られないのであれば何か他にできることを・・・と思い、SNSを中心に発信やオンラインイベント、サロン開設などとにかく今出来そうな事に挑戦し、目まぐるしい日々。

今思えば 「何かやらなきゃ!」という気持ちが強くなりすぎて、心が疲れてしまった時期もありましたが、それと同時にたくさんの方と繋がる事ができ、どんな環境に置かれても諦めない気持ちと行動する勇気さえあればどんな事にでも挑戦出来ると言うことにも気づけ、この試合がなかった期間中の1番の大きな収穫です。

その後8月に国際大会のツアーは再開し、ランキングポイントは2021年の同じ時期まで失効されないことは決まったとはいえ、国内での国際大会は中止で世界ランキングのポイントを取るには、海外への渡航は必須。さらに大会数も少なくなり、ランキング上位の選手も下部の大会へ出場することも多く、例年よりレベルの高いものとなりました。

一人で遠征に行く事の多い私は、まだ一人で渡航するにはリスクが高いと感じた為、まずは国内大会から出場しようと思った矢先に怪我をしてしまい、随分と試合復帰が遅くなっていました。

今までこれほど試合をしてないことは初めてで、練習試合等はしていましたが、試合ってどんな風にやるんだっけ?どんな気持ちで望んでいたっけ?と試合勘がない中で気持ちを整理しながら、楽しみ40%不安60%と言った状態で試合に臨みました。

結局ベスト4で大会は終了しましたが、大会が終わった後は、試合をすることの大切さと課題が明確になった事への嬉しさ、そして悔しいという素直な気持ちでした。

やはり少し忘れかけてしまっていた、試合の中でしか得られない感覚や感情等と向き合いながら相手と駆け引きしあう。それを継続的にやる事の重要さと、不透明になりかけそうだった課題を試合をすることで明確にし、また次勝てるように励みに出来る嬉しさ。
また、当たり前の事ですが、負けて「悔しい」と思う自分に、心の底からまだ私は強くなりたいんだ!と気づくことが出来て、少し嬉しい感情にもなりました。

そして何より今まで出会った方々が、試合観にいきたいと言ってくださったり、試合の前や後も連絡をくださったり、応援してくれている方々からのメッセージが間違いなく自分の力になっていて、こんな状況は当たり前な事ではないんだよなと改めて実感しました。
これらに気づけただけでも1年越しで試合をした意味はあったかもしれません。

まだまだ今年の目標には遠い状態ではありますが、やっと走り出す準備が出来たので、あとは目標を見失わずに前に進むだけ。
将来の「スポーツを通して、楽しさや自分の経験を多くの人に伝え、お互いの人生をより奥深いものにしていく」という目標のためにも、現役中により多くのステージで戦い、オフコートでもこのエンジニアスキルを始め多くのことを学び、魅力のあるスポーツ選手になれるよう行動していきます。

秋山みなみ